「虫歯になりやすいから食生活を改善したい」「虫歯の治療がつらかったから、もう虫歯になりたくない」と考える人もいるのではないでしょうか。
この記事では、虫歯になりやすい食べ物や飲み物の特徴について解説します。好きな食べ物が虫歯の原因になりやすい場合でも、予防方法も紹介します。
この記事を参考にして、歯の健康を守る食べ方について理解し、できることから取り入れてみてください。
目次
虫歯になりやすい食べ物の特徴とは?
食べ物には虫歯になりやすいものと、なりにくいものがあります。
虫歯になりやすい食べ物の特徴は、以下のとおりです。
- 糖分が多い
- 粘着性が高く歯に付着しやすい
- 酸性度が強い
- 精製された炭水化物
虫歯になりやすい食べ物を控えたり、食べたあとの対策を取ったりするだけでも虫歯のリスクを減らせます。それぞれの食べ物の特徴について、詳しく解説します。
糖分が多い
糖分が多い食べ物は虫歯になりやすく、特に砂糖(ショ糖)は注意が必要です。
糖分が多い食べ物の例は、以下のとおりです。
- おやつ
- 甘い飲み物
- ドライフルーツ
おやつには砂糖が含まれている場合が多く、虫歯の原因になりやすいです。ジュースや炭酸飲料なども糖分が含まれるため、摂取しすぎないことが重要です。
炭酸飲料は酸性度が高いため、歯のエナメル質を溶かし、酸蝕症(さんしょくしょう)になる場合があります。ドライフルーツは乾燥しており糖分が凝縮されているため、注意が必要です。
食品表示は、成分の多い順に記載されています。最初に砂糖が表示されていないものを選ぶだけでも、虫歯のリスクを軽減できます。
粘着性が高く歯に付着しやすい
粘着性が高い食べ物は口腔内に残りやすく、歯にも付着しやすいため、虫歯になりやすいです。
粘着性が高い食べ物の例は、以下のとおりです。
- 飴
- クッキー
- クラッカー
- ナッツ
クッキーやクラッカーなどのお菓子は、長時間食べかすが口の中に残りやすいです。ナッツ類は歯に付着しやすいため、注意しましょう。
すぐに歯磨きができない場合は、砂糖の入っていない水分を取ることで、口の中の食べかすを流しましょう。
酸性度が強い
虫歯は口腔内のpHと関係があります。口腔内は中性ですが、食べ物や飲み物を摂取することで酸性に傾きます。
pHが5.5以下になると歯のエナメル質が溶け始め、脱灰が進むと歯に穴が空き、虫歯になってしまうのです。
酸性度が高い食べ物は、以下のとおりです。
- 柑橘類(レモン、オレンジなど)
- トマト
- お酢を使った調味料(ドレッシングなど)
酸性度が高いものを摂取した後は、水で口をすすぎましょう。長時間酸に触れないように心がけ、食事の時間を短くすることもおすすめです。
精製された炭水化物
白米やパン、うどん、パスタなどの精製された炭水化物は、糖質が多く含まれます。口の中で糖に分解されやすいため、虫歯になりやすい特徴があります。
玄米や雑穀米、全粒粉などの未精製の穀物を、よく噛んで食べることがおすすめです。
虫歯になりやすい食べ物ランキング9選
虫歯になりやすい食べ物の代表例をまとめました。虫歯になりやすい理由を理解し、食べた後は歯磨きなどの対策を取りましょう。
チョコレート
チョコレートは糖分が多く、虫歯菌の餌になります。一方で、チョコレートに含まれるカカオポリフェノールは虫歯になりにくい特徴もあります。チョコレートを選ぶ際は、カカオ含有量が高いものがおすすめです。
歯科医院では、キシリトール入りチョコレートが販売されている場合があります。
キシリトールは天然の甘味料で、虫歯になりにくい特徴があります。受付に置いているクリニックもあるため、診療時に確認してみてください。
クッキー
クッキーは、一般的に砂糖を多く含んでいます。クッキーは口の中で崩れやすく、食べかすが歯に付着しやすいため、虫歯になりやすい特徴があります。
虫歯を予防したい場合は、砂糖不使用のクッキーがおすすめです。砂糖入りのクッキーを食べる際は、一度にまとめて食べて、ダラダラ食べないようにしましょう。
食べた後はすぐに歯磨きをして、口腔内を清潔にしてください。すぐに歯磨きができない場合は、口をすすぎましょう。
キャラメル
キャラメルには、砂糖が豊富に含まれています。粘着力も高く、歯の表面に長く残りやすいため、虫歯になりやすいです。
キャラメルは噛まずに長時間なめる場合もあるため、口の中に糖分が存在し続けます。歯の詰め物が取れることもあるので注意しましょう。
キャラメルを食べる場合は量を控えめにして、一度に食べましょう。食後は歯磨きをしてください。
飴・キャンディー
飴やキャンディーは砂糖が多く含まれているため、虫歯になりやすいです。粘性も高く、歯に残りやすい特徴があります。
飴やキャンディーをなめていると、唾液の分泌量が減り、虫歯菌が繁殖しやすい環境になります。
飴やキャンディーを食べる際は、ダラダラ食べないようにし、食べた後は水で口をすすぐことをおすすめします。
ガム(砂糖入り)
砂糖入りのガムは糖分が含まれるため、虫歯になりやすいです。長時間ガムを噛むと、口の中に糖がずっと存在している状態になります。
砂糖入りのガムは虫歯になりやすいですが、キシリトールガムは虫歯の予防効果があります。ガムを食べる際は、キシリトールやシュガーレスガムを取り入れてみてください。
チップス類
チップス類の主成分は、ジャガイモやサツマイモなどの糖質です。糖質は虫歯菌の餌になるため、虫歯になりやすいです。
チップス類などのスナック菓子は甘いジュースと一緒に食べる場合もあるため、食べ合わせに注意しましょう。
アイスクリーム
アイスクリームは、砂糖が多く含まれています。乳脂肪分や香料などの添加物は歯の表面に付着しやすいため、虫歯になりやすい特徴があります。
就寝前にアイスクリームを食べる際は、特に気をつけましょう。夜間は唾液の分泌量が減少するため、虫歯が進行しやすいです。
シュガーレスのアイスクリームを選ぶと、虫歯のリスクが減少します。
ドライフルーツ
ドライフルーツは果物を乾燥させることで糖分が凝縮されているため、虫歯になりやすい食べ物です。
果物の種類によって、粘着性が高いものがあります。砂糖が含まれるドライフルーツもあり、虫歯菌の餌になりやすい食べ物です。
柑橘類
柑橘類には糖分が含まれているため、虫歯になりやすいです。柑橘類には酸が含まれており、歯を溶かす作用があります。歯が溶けることによって、虫歯を助長してしまうのです。
一方で、柑橘類に含まれるビタミンCは歯の象牙質をつくる役割があり、虫歯予防につながります。柑橘類はメリットとデメリットがあるため、食べ過ぎに注意しましょう。
虫歯になりやすい飲み物は?
食べ物だけではなく、虫歯になりやすい飲み物もあります。
飲み物の中でも、特に虫歯になりやすい飲み物について詳しく解説します。
コーラ
コーラには多量の砂糖が含まれているため、虫歯になりやすいです。
炭酸飲料は酸性の刺激が強いですが、コーラは特にph2.2と低い点が特徴です。酸性度が高いため、エナメル質が溶けやすく、虫歯になりやすくなります。
コーラを飲んだ後は、水で口をゆすぎ、口腔内の酸性度を中和しましょう。ダラダラ飲むと長時間糖が口腔内に残ります。
黒酢ドリンク
黒酢ドリンクそのもので虫歯にはなりませんが、酸が含まれるため酸蝕症になりやすいです。酸蝕症は歯の表面が溶けるため、虫歯の進行に影響します。
酸が長い時間口腔内に残らないように、黒酢ドリンクを飲んだ後は水などを飲みましょう。酸が歯を溶かす前に洗い流すことが大切です。
スポーツドリンク
スポーツドリンクには、糖分と電解質が含まれます。糖分は虫歯菌の餌となり、電解質は酸性度を高め、歯のエナメル質を溶かします。
運動中に頻繁にスポーツドリンクを摂取すると、口腔内に糖分と酸がとどまるため注意が必要です。
虫歯のリスクを減らすため、スポーツドリンクを飲んだ後は、一緒に水を飲みましょう。無糖タイプのスポーツドリンクも販売されているため、取り入れてみてください。
甘いカクテル
アルコール飲料そのものに虫歯は関係ありません。しかし、甘いカクテルは糖分が含まれるため、虫歯になりやすい飲み物です。
飲み会などは食事の時間が長くなるため、ダラダラ食べにも注意してください。お酒を飲む際は、ハイボールなどの糖分が少ないものがおすすめです。
虫歯になりにくい食べ物ってある?
食べ物の中には、虫歯になりにくいものがあります。特にフッ素とカルシウムが含まれている食べ物は、虫歯になりにくいです。
それぞれの食べ物が虫歯になりにくい理由について、詳しく解説します。
フッ素が含まれる食べ物
フッ素が含まれる食べ物は、虫歯になりにくいです。フッ素は初期虫歯を修復(再石灰化)し、歯質を強化して酸に強くなります。
虫歯菌の働きを抑える役割もあります。フッ素が含まれる食べ物は、以下のとおりです。
- 海産物(わかめ、めかぶ、のりなど)
- 魚介類(サケ、いわし、エビなど)
- 飲料(緑茶、紅茶など)
含有量は減りますが、野菜など普段から食べている食品にもフッ素は含まれます。フッ素が含まれる食材を普段の食事に取り入れ、虫歯予防に役立てましょう。
カルシウムが含まれる食べ物
虫歯を予防するためには、バランスよく栄養素を摂取する必要があります。特にカルシウムは骨や歯のもとになるため、積極的に摂取しましょう。
カルシウムはエナメル質の再石灰化を促し、歯の土台を丈夫にする役割があります。
カルシウムが含まれる食べ物は、以下のとおりです。
- 乳製品(牛乳、チーズ、ヨーグルトなど)
- 小魚(しらす、ししゃもなど)
- 豆類(豆腐、納豆、厚揚げなど)
カルシウムが含まれる食品を摂取することで、虫歯予防の効果があります。特に牛乳などの乳製品はビタミンAも含まれており、エナメル質を強化する効果があります。
しかし、食事だけでなく、正しい歯磨き習慣や定期的な歯科検診も大切です。
虫歯になりやすい食べ物でも予防するポイント
虫歯になることは防ぎたくても、甘いものなど好きな食べ物をずっと我慢するのはつらいですよね。
ここでは虫歯になりやすい食べ物について、予防するポイントを詳しく解説します。
甘いものは食後に取る
甘いものは間食ではなく、食後に取ることがおすすめです。間食として甘いものを食べると、口の中に糖が含まれる時間が長くなるため、虫歯になりやすくなります。
食後に甘いものを食べると、唾液の分泌量が増え、酸を中和します。甘いものを食べる場合は、食事の一環として食べて、その後にケアすることがおすすめです。
食べたらすぐに歯磨きをする
虫歯予防のために、食べたらすぐに歯磨きをしましょう。食後は虫歯の原因となる細菌の活動が活発になり、口が酸性になります。
食後すぐに歯磨きをすると、口の中の食べかすが除去され、虫歯菌の繁殖を抑えられます。
フッ素配合の歯磨き粉を使用する
歯磨きの際に使用する歯磨き粉は、フッ素配合のものがおすすめです。フッ素は歯のエナメル質を強化し、虫歯菌の繁殖を抑える効果があります。
初期虫歯はミネラル成分が歯から溶けだした状態で、歯にはまだ穴が開いていません。フッ素配合の歯磨き粉を使用することで、エナメル質が強化され、初期虫歯の修復も可能です。
フッ素は年齢に応じた量を使用しましょう。6歳~成人・高齢者の場合は、1,400~1,500ppmFの歯磨剤を、歯ブラシ全体に約1.5~2cmが推奨用量です。
定期的に歯科検診を受ける
虫歯予防のために、定期的に歯科検診を受けましょう。歯科検診は、虫歯や歯周病の早期発見が目的です。
3~4ヶ月に1回の頻度で検診を受けることがおすすめです。虫歯や歯周病は進行が早いため、何も症状を感じていない場合も、定期検診に行きましょう。
定期健診では歯のクリーニングやフッ素の塗布もできるため、虫歯予防になります。歯科検診の受診時に、次回の予約を取ることがおすすめです。
歯の健康を守るためのおすすめの食べ方
虫歯を予防するための方法は、食べ物や飲み物を制限するだけではありません。虫歯になりにくい食べ方を、詳しく解説します。
ダラダラ食べない
歯の健康を守るためには、ダラダラ食べないことが重要です。食事をすると口が酸性に傾き、歯のエナメル質からカルシウムなどが溶け出る脱灰を起こします。
食事後は唾液の成分によって、歯を修復する再石灰化が起こります。この脱灰と再石灰化のバランスが保たれていれば、虫歯にはなりません。
しかし、ダラダラ食べていると、再石灰化のスピードが脱灰のスピードについていけなくなり、虫歯になりやすくなります。食事をする際は、ダラダラ食べないように気をつけましょう。
よく噛んで唾液を増やす
よく噛むと唾液の分泌が促進され、口の中が浄化されます。唾液は歯を保護する成分が含まれている点が特徴です。
よく噛むことで食べ物が細かくなり、食べかすがたまりにくくなります。1口30回を目安に、よく噛んで食べましょう。
飲食回数を決める
飲食回数が増えると再石灰化と脱灰のバランスが崩れるため、虫歯になりやすいです。1日3回を目安に食事を取り、間食する場合はダラダラ食べないようにしましょう。
食後はできるだけ早めに歯磨きをして、食べかすが口腔内に残らないようにケアしてください。
水やお茶を飲む
食べてすぐに歯磨きができない場合は、水かお茶を飲みましょう。
水分を取るメリットは、以下のとおりです。
- 洗浄効果がある
- 唾液の分泌が促進される
- お茶は虫歯菌の活動を抑制する
食後に水分を取ることで、歯に付着した食べかすを流し、口腔内の乾燥を防げます。
水分は砂糖の入っていないものを選んでください。唾液は酸を中和する役割があり、歯が酸によって溶けることを防ぎます。
お茶はカテキンやポリフェノールが含まれ、虫歯菌の活動を抑制する効果があります。
まとめ
虫歯になりやすい食べ物と、なりにくい食べ物について解説しました。
糖分が多く含まれる食べ物や、粘着性が高い食べ物は虫歯になりやすいため、食べ過ぎないようにしてください。チョコレートやクッキー、飴などは特に注意が必要です。
しかし、好きな食べ物が虫歯になりやすい場合は、ずっと我慢するのは難しいかもしれません。
虫歯になりやすい食べ物を食べるときは、食後にすぐ歯磨きをするなどの対策ができます。虫歯になるメカニズムと対策を理解し、虫歯ができにくい習慣を取り入れましょう。
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