こんにちは。京都府京都市左京区にある医療法人社団 京都下鴨ライフ歯科・矯正歯科・小児歯科です。
近年、目立ちにくく快適に歯並びを整えられる治療法として、マウスピース矯正を選ぶ人が増えています。ワイヤー矯正と比べて見た目のストレスが少なく、食事や歯磨きの際に取り外せる便利さも人気の理由です。
しかし、実際には「思ったように歯が動かない」「噛み合わせが悪くなった」など、期待通りの結果が得られず後悔するケースも少なくありません。マウスピース矯正は適切な診断と継続的な管理があってこそ効果を発揮するため、安易な判断や自己流の対応は避けるべきです。
この記事では、マウスピース矯正で起こりやすい失敗例と、その予防策について詳しく解説します。治療を検討している方が後悔なく進められるよう、具体的にご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
目次
マウスピース矯正とは
マウスピース矯正とは、透明なプラスチック製のマウスピースを交換しながら、段階的に歯を動かしていく矯正方法です。
装置が目立ちにくく、取り外しが可能なため、従来のワイヤー矯正と比べて見た目や生活面での負担が少ないのが特徴です。食事や歯磨きの際に装置を外せるため口内を清潔な状態に保ちやすく、虫歯や歯周病のリスクを抑えられるというメリットもあります。
また、金属の装置を使わないため、金属アレルギーの症状が現れる心配もありません。
治療は、歯科医院での精密検査と3Dスキャンによる歯列のデジタルデータ作成から始まり、コンピューター上で理想の歯並びをシミュレーションします。その後、歯を動かしていくための複数のマウスピースが作製され、数週間ごとに交換しながら少しずつ歯を移動させます。
ただし、マウスピースは1日20時間以上装着する必要があり、装着を怠ると治療計画通りに進まなくなるリスクがあります。つまり、マウスピース矯正は見た目や快適さといったメリットがある一方、患者さま自身の協力と継続的な自己管理が成功の鍵を握る治療法なのです。
マウスピース矯正の失敗例
マウスピース矯正には見た目や快適さなど、多くの利点がありますが、すべての人にとって完璧な治療法だというわけではありません。実際には、計画通りに歯が動かなかった、噛み合わせが悪化したといったトラブルも報告されています。
原因は、マウスピースの装着時間の不足や歯科医院側の診断・計画の甘さ、またはマウスピース矯正の適応範囲を超えた症例に挑戦したことなど、多岐にわたります。
こうした失敗は、見た目や費用面だけで安易に治療を決めた結果として起こることも多く、再治療や追加費用が発生するケースも珍しくありません。事前に失敗例を知っておくことで、自分の治療リスクをより正確に判断でき、後悔のない選択につながります。
ここでは、実際に起こりやすいマウスピース矯正の失敗例を具体的にご紹介します。
歯が計画通りに動かない
マウスピース矯正における最も多い失敗例が、シミュレーション通りに歯が動かないケースです。原因はマウスピースの装着時間の不足、マウスピースのフィット不良、または初期計画の誤差などです。
特に、数時間の装着不足が積み重なるだけでも歯の動きは予定より遅れ、マウスピースが合わなくなることがあります。歯を計画通りに動かし、矯正をスムーズに進めるためにも、装着時間は守るようにしましょう。
噛み合わせが悪くなった
マウスピース矯正を行ったあと、上下の歯の位置がずれて噛み合わせが悪くなることがあります。奥歯の高さや前歯の位置がわずかに狂うだけでも咀嚼や発音に影響が出る場合があり、改善するためには追加で治療が必要になることもあります。
歯肉退縮や歯根吸収が起こった
無理に歯を移動させることによって、歯茎が下がる歯肉退縮や歯の根が短くなる歯根吸収が起こる場合があります。これらは見た目だけではなく歯の寿命にも影響するため、特に注意が必要です。
治療期間が大幅に延びた
計画通りに歯が動かないことにより、治療期間が大幅に延びるケースがあります。当初は1年半と説明されていたのに、実際には2年以上かかる場合もあります。追加でマウスピースの作製が必要になると、費用が増えることもあります。
後戻りが起こった
治療終了後にリテーナー(保定装置)を正しく使用しなかった場合、歯が元の位置に戻る後戻りが起こることがあります。一度動かした歯は安定するまで時間がかかるため、保定を怠ると再治療が必要になることがあるのです。
失敗を防ぐためのポイント
マウスピース矯正は、見た目の自然さや快適な装着感から多くの人に選ばれていますが、成功させるにはいくつかのポイントを意識する必要があります。装着時間や自己管理の徹底はもちろん、歯科医師の技術や経験など、複数の要素が揃って初めて理想の仕上がりが実現します。
反対に、これらの条件が欠けると歯が計画通りに動かない、噛み合わせが不安定になる、治療が長期化するなどのトラブルが発生しやすくなります。失敗を回避するためには、事前の情報収集と準備が欠かせません。
ここでは、マウスピース矯正を安全かつ効果的に進めるために、患者さまが意識すべき重要なポイントを具体的に解説します。
知識や経験が豊富な歯科医師を選ぶ
マウスピース矯正を成功させるためには、治療技術と診断能力の高い歯科医院を選ぶことが欠かせません。価格の安さだけで選ぶのではなく、過去の症例数や治療実績などを確認したうえで歯科医院を選ぶことが大切です。
初回カウンセリングで治療の可否やリスクについて丁寧に説明してくれるか、質問にしっかり答えてくれるかなどはよく確認しましょう。
自己管理を徹底する
マウスピースの装着時間が短いと計画通りに歯が動かず、治療期間が延びたり追加で費用が発生したりする可能性があります。マウスピースは1日20〜22時間装着する必要があり、外すのは食事と歯磨きのときだけに限るのが理想です。
また、マウスピースの装着後は、しっかりと奥までフィットさせるためのチューイーと呼ばれる補助具の使用も推奨されます。マウスピースの管理を怠ると数週間で歯の動きにズレが生じ、最終的な仕上がりに影響するため、毎日のルーティンとして習慣化することが重要です。
定期的に通院し経過観察する
マウスピース矯正中は定期的に歯科医院に通院することも大切です。通院時には歯の移動状況を確認し、計画との差異があれば早期に修正します。もし通院を怠れば、トラブルの発見が遅れ、治療のやり直しや後戻りのリスクが高まります。
特に、歯の動きが予想より早い場合や遅い場合には、治療計画の見直しが必要になるケースもあるため、スケジュール通りに通院することが成功への近道です。
適応症例か確認する
マウスピース矯正は全ての歯並びに適応となるわけではありません。歯を大きく移動させるケースや、歯並び・噛み合わせの乱れが重度の場合は、マウスピース矯正だけでは十分な改善が見込めないこともあります。
それにもかかわらず、無理にマウスピース矯正だけで治療を進めると、歯が理想の位置まで動かない、噛み合わせが不安定になるなどのリスクが高まります。このような場合はワイヤー矯正などの別の治療法が推奨されることもあります。
本当にマウスピース矯正で対応できる症例なのか、カウンセリング時にしっかり確認し、必要であればほかの治療法も検討する柔軟さが重要です。
まとめ
マウスピース矯正は、装置が目立ちにくく、取り外し可能といった利便性から、多くの人に選ばれている矯正方法です。
しかし、適切な診断や計画、自己管理が欠けると、歯が動かない、噛み合わせが悪化する、治療が長引くといった失敗が起こり得ます。
マウスピース矯正を成功させるためには、信頼できる歯科医院を選んだり、マウスピースの装着時間を守ったりすることが不可欠です。また、自分の症例がマウスピース矯正による治療が可能かどうかを事前に見極め、必要であればほかの治療法も視野に入れましょう。
マウスピース矯正を検討されている方は、京都府京都市左京区にある医療法人社団 京都下鴨ライフ歯科・矯正歯科・小児歯科にご相談ください。
当院では、一人ひとりのライフステージに沿った歯科医療を提供できるよう努めています。小児・成人矯正や予防歯科、虫歯・歯周病治療、ホワイトニングなどさまざまな診療に力を入れています。
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奥村 亮司