こんにちは。京都府京都市左京区にある医療法人社団 京都下鴨ライフ歯科・矯正歯科・小児歯科です。
「インビザラインでマウスピース交換を勝手に早めると、どんなリスクがあるの?」という疑問をお持ちの方もいるでしょう。インビザラインのマウスピースは通常1~2週間に一度交換しますが、予定より早めに替えたいと考える患者さまは少なくありません。
しかし、交換を前倒しするとさまざまなリスクがあるため、注意が必要です。このため、適切なタイミングで交換することが、歯列矯正を効率的かつ快適に進める鍵となります。
本記事では、交換時期を早めるリスクと、歯科クリニックでスムーズに矯正を進めるためのポイントをまとめました。ぜひ最後までご覧ください。
インビザラインとは
インビザラインは、透明なマウスピースを使って歯並びを整える矯正方法です。取り外しが可能で目立ちにくいため、日常生活に支障をきたしにくい点が特徴です。
アメリカで開発され、世界中で多くの治療実績があります。特に、治療計画のシミュレーション精度が高く、幅広い歯並びのケースに対応できる点で信頼度が高いです。治療中は、患者さまの歯の状態や進行状況に応じて、歯科クリニックが適切な交換スケジュールを提案します。
適切なタイミングでマウスピースを交換することで、計画通りに治療を進め、理想的な歯並びを目指せます。
インビザラインのマウスピースを交換する頻度
インビザライン治療では、マウスピースを定期的に新しいものへ交換しながら、少しずつ歯並びを整えていきます。一般的には1週間から2週間ごとが交換の目安です。
それぞれのマウスピースは、目指す歯並びに合わせて微妙に形が異なっており、これを順番に装着することで歯を計画通りに動かしていきます。適切なタイミングで交換することが、治療計画をスムーズに進める上でとても大切です。
1枚のマウスピースで動かせる歯の距離には限界があるためです。歯は1ヶ月でおよそ1mm程度動かせます。マウスピース1枚で動かせるのは最大0.25mm程度とされているため、1週間前後で交換する必要があります。
ただし、これはあくまで目安であり、歯の動き方には個人差があります。実際の交換タイミングは、患者さまの歯の状態を診ている歯科医師の判断に従うようにしてください。自己判断で交換時期を変えることは避けましょう。
マウスピース交換のペースを左右する要素
インビザライン治療で使うマウスピースの交換頻度を左右する要素は、以下のとおりです。
装着している時間
インビザラインは、現在の歯並びとマウスピースの形のわずかなズレを利用して歯に力を加え、動かしていく治療法です。つまり、マウスピースを着けている間しか、歯を動かすための矯正力は作用しません。
そのため、装着時間が長ければ長いほど歯は計画通りに動きやすく、治療全体の進行もスムーズになることが期待できます。推奨される装着時間は、1日につき20時間以上です。装着時間が短かったり、うっかり着け忘れる日が多かったりすると、歯は思うように動いてくれません。
そのような場合は、歯が予定の位置まで動くのを待つために、マウスピースの交換時期を通常よりも延ばすといった調整が必要になることもあります。
歯並びの状態
マウスピースの交換タイミングは、現在の歯並びの状態や、どのように歯を動かしていくかによっても変わってきます。歯の動かし方には、大きく分けて歯体移動(したいいどう)と傾斜移動(けいしゃいどう)の2種類があります。
歯体移動とは、歯の根っこごと平行に動かす方法で、例えば抜歯した後の隙間を埋める際などに行われます。傾斜移動は、歯の根元の位置はあまり変えずに、歯の傾きや向きを修正する方法です。
傾斜移動の場合、歯の根の位置は大きく変わらないため、歯体移動に比べて歯が早く動きやすいという特徴があります。そのため、傾斜移動で治せる部分が多い患者さまは、歯体移動が中心となる患者さまよりも、短い期間で歯並びや噛み合わせの改善が期待できる場合があります。
年齢
矯正治療で歯が動くのは、歯ぐきの中にある顎の骨が新陳代謝を繰り返すリモデリングという現象を利用しているからです。歯が押される側の骨は溶けて吸収され、反対に引っ張られる側の骨は新しく作られます。
骨の吸収と再生が繰り返されることで、歯は少しずつ移動していきます。一般的に、体の新陳代謝は活発なほうが骨の吸収や再生もスムーズに進むため、歯が動くスピードも速い傾向にあります。
年齢を重ねるとともに新陳代謝は緩やかになるため、若い方のほうが歯の移動が早く、結果的にマウスピースの交換時期も短くなる可能性が高いです。
ただし、歯や顎の骨に無理な負担をかけないよう、個々の代謝のペースや歯の状態に合わせて、歯科医師が交換時期を慎重に調整します。
インビザラインのマウスピースの交換を早めるリスク
マウスピースの交換を早めたときに起こり得るリスクは、以下のとおりです。
計画通りに進まなくなる
歯科医師から指示されたタイミングよりも早く新しいマウスピースに取り替えると、歯がまだ予定された位置まで十分に移動していない可能性が高いです。その結果、新しいマウスピースが歯にぴったりとはまらず、浮いたり、強い痛みを感じたりすることがあります。
こうなると、歯を動かすための適切な力がかからず、治療計画通りに歯が移動しなくなります。治療を早く進めたいという思いとは裏腹に、かえって治療全体の期間が延びることにもなりかねません。
ご自身では歯の動きを正確に判断するのは難しいため、必ず歯科医師の指示に従って交換を進めましょう。
予期せぬ歯の動きが起こる
前のマウスピースで動かすべき距離を歯が移動しきっていない段階で、次の新しいマウスピースを装着すると、歯並びが乱れる危険性もあります。それぞれのマウスピースは、計算された順序で歯に力を加えるよう設計されています。
この順序が狂うと、歯が計画とは異なる予期せぬ方向へ動いていくことがあるのです。もし歯並びが意図せず乱れた場合、それを元に戻すための追加の治療工程が必要になります。
治療計画の修正やマウスピースの追加作製などが発生し、結果的に治療期間が長くなったり、追加の費用がかかったりする可能性が出てくるでしょう。
我慢できないほどの痛みが出ることもある
インビザラインのマウスピースを交換した直後は、多少の圧迫感や違和感を覚えることがあります。歯が計画通りに動いていれば、次第に歯に馴染んできます。通常、我慢できないほどの強い痛みが続くことは少ないです。
しかし、歯がまだ十分に移動していないうちに無理やり新しいマウスピースを装着すると、歯や歯ぐきに過度な力がかかり、強い痛みが発生することがあります。これは、マウスピースが歯に適合していないサインの一つといえます。
痛みは体からの重要な警告ですので、無理に我慢せずに歯科クリニックに相談することが大切です。
歯やそれを支える骨に大きな負担がかかる
治療計画から外れたタイミングで新しいマウスピースを無理に装着すると、歯そのものや、歯を支えている歯槽骨という骨に対して過剰な負荷をかけることになります。歯の根が短くなる歯根吸収という現象を引き起こしたり、歯ぐきが下がったりするリスクが高まります。
大切な歯を健康に保ちながら治療を進めるためにも、マウスピースの交換は必ず歯科医師の指示通りに行い、歯や骨に不必要な負担をかけないようにしましょう。
インビザライン矯正を予定どおりに進めるためには
インビザライン治療をスムーズに進める秘訣は、以下のとおりです。
装着時間を必ず守る
インビザライン治療の成果を左右する最も重要な要素の一つが、マウスピースの装着時間です。決められた時間、具体的には1日に20時間から22時間以上装着することで、歯は計画通りに移動します。食事やブラッシングの時以外は基本的に装着しているイメージです。
この時間を守れないと、歯の動きが停滞したり、治療計画にズレが生じたりする可能性があります。もし装着し忘れが多いようでしたら、スマートフォンアプリのアラーム機能を使ったり、生活のルーティンに組み込んだりする工夫をしてみましょう。
例えば、食事が終わったらすぐにブラッシングをしてマウスピースを着ける、という流れを習慣化すると忘れにくくなります。
定期的なチェックを欠かさない
インビザライン治療中は、定期的に歯科クリニックへ通い、お口の状態をチェックしてもらうことが大切です。検診では、歯が計画通りに動いているか、マウスピースが適合しているか、虫歯や歯周病といったトラブルが発生していないかなどを確認します。
もし何か問題が見つかっても、早い段階で対応できるため、治療期間が不必要に延びるのを防ぐことにつながります。
マウスピースの保管場所に注意
食事やブラッシングの際にマウスピースを外すことは日常的なことですが、その際の保管方法にも注意が必要です。専用のケースにしまう習慣をつけましょう。特に、飲食店などでは、ティッシュに包んだマウスピースをゴミと間違えて片付けられるケースも少なくありません。
マウスピースを紛失したり壊したりすると、再製作のために時間と費用がかかり、治療期間もその分遅れてしまいます。わずかな手間ですが、常に専用ケースへ保管することを徹底してください。
ブラッシングで口内環境を整える
インビザラインのマウスピースはご自身で取り外しができるため、固定式の装置に比べてブラッシングがしやすいという大きなメリットがあります。この利点を活かして、毎日のブラッシングを丁寧に行うことが、治療をスムーズに進める上で非常に大切です。
歯ブラシだけでなく、歯間ブラシやデンタルフロスも活用して、隅々まで清潔な状態を保つことを心がけましょう。
マウスピースも清潔に保ちましょう
お口の中を清潔に保つことと同様に、毎日使用するマウスピース自体を清潔に保つことも忘れてはいけません。マウスピースの清掃を怠ると、唾液中の細菌が付着・繁殖し、口臭の原因や虫歯・歯周病のリスクを高めることがあります。
マウスピースは、外した際に毎回、指で優しくこすり洗いするか、専用のブラシを使って水またはぬるま湯で洗浄しましょう。この時、熱いお湯を使うとマウスピースが変形することがあるので避けてください。
まとめ
インビザライン治療でマウスピースの交換を自己判断で早めると、歯が計画通りに動かない、予期せぬ歯の動きが生じるなど、様々なリスクが伴います。治療を早く終わらせたい気持ちは分かりますが、焦りは禁物です。
大切なのは、歯科医師の指示に従い、装着時間や定期検診といった基本的なルールを守ることです。これが、結果的に最も効率的で安全な治療へと繋がります。
治療に関して疑問や不安があれば、遠慮なく歯科クリニックに相談し、理想の歯並びを目指しましょう。
インビザライン矯正を検討されている方は、京都府京都市左京区にある医療法人社団 京都下鴨ライフ歯科・矯正歯科・小児歯科にご相談ください。
当院では、一人ひとりのライフステージに沿った歯科医療を提供できるよう努めています。小児・成人矯正や予防歯科、虫歯・歯周病治療、ホワイトニングなどさまざまな診療に力を入れています。
ホームページはこちら、WEB予約やLINE予約相談もお待ちしております。
奥村 亮司