こんにちは。京都府京都市左京区にある医療法人社団 京都下鴨ライフ歯科・矯正歯科・小児歯科です。
子どもの歯並びが気になって、矯正治療を検討している保護者の方もいらっしゃるでしょう。ひとつ注意が必要なのは、特定の期間にしか実施できない治療法があることです。
インビザライン・ファーストは、混合歯列期の子どもを対象とした治療法です。透明なマウスピースを用いるため、目立ちにくく、子どもの学校生活への影響も少なくて済みます。
しかし、適応条件を満たしていないと、治療を受けられない可能性があるのです。
今回は、インビザライン・ファーストの適応条件について解説します。インビザライン・ファーストが向いている症例や、反対に向かないケースについても解説しますので、ぜひ参考にしてください。
インビザライン・ファーストとは
インビザライン・ファーストとは、乳歯から永久歯に生え変わる時期のお子さんを対象としたマウスピース矯正です。インビザライン・ファーストには、次のような特徴があります。
顎の幅の拡大と歯並びの改善を同時に行える
インビザライン・ファーストでは、顎の幅の拡大と歯並びの改善を同時に行うことができます。
小児矯正では、まず第一期治療で顎の幅を広げて歯を並べるスペースを作り、その後、第二期治療で歯の位置をきれいに整えるといった段階を踏みます。インビザライン・ファーストは、これらを同時に行うことができるのです。
顎の骨が成長する時期に矯正治療を行うことで、永久歯が並ぶための土台を整えることができます。これによって、将来的に矯正治療が必要になった場合でも抜歯を避けられたり、大掛かりな治療が必要なくなったりします。
装置が目立ちにくいため子どもへの負担が少ない
インビザライン・ファーストでは、透明な素材で作られたマウスピース型の矯正装置を用います。従来の金属製の装置を使用しないため、装着していても周囲の方に気づかれることはほとんどありません。
お友達との会話で矯正装置が目立つのを気にする必要がなく、ふだんどおりに過ごすことができます。また、矯正装置が目立つことで子どもがからかわれる心配をしなくていいので、保護者の方の不安も軽減されます。
これまで通りに食事や歯磨きができる
インビザライン・ファーストで使用するマウスピースは取り外すことができます。マウスピースを外して食事ができるため、食べ物に関する制限はほとんどありません。これまでと同様に自由に食事を楽しむことができる点は、成長期のお子さんにとって大きなメリットといえます。
学校給食でも特別な配慮を必要とせず、みんなと同じ食事ができるので余計なストレスがかかりません。
口腔ケアもしやすいです。固定式の装置を使用する場合、装置が邪魔になって歯ブラシが届きにくい部分が発生し、磨き残しが生じるという問題がありました。
一方で、インビザライン・ファーストの場合、歯磨きの際にはマウスピースを取り外すことができます。そのため、これまで通りに歯磨きができるのです。
歯ブラシだけでなく、デンタルフロスや歯間ブラシなどの補助清掃用具も使用できるので、虫歯や歯肉炎などのリスクを減らすことができます。
インビザライン・ファーストの適応条件
インビザライン・ファーストはすべてのお子さんに適応となるわけではありません。インビザライン・ファーストには次のような適応条件があります。
第一大臼歯が萌出している
インビザライン・ファーストで治療を受けるためには、6歳臼歯とも呼ばれる第一大臼歯が萌出している必要があります。
第一大臼歯とは、前歯から6番目にあたる最初に生えてくる永久歯で、一般的には6歳ごろに上下左右に1本ずつ萌出します。この歯が少なくとも1本生えていることが条件となります。
こうした条件が設けられているのは、この歯が噛み合わせや歯列の土台を作るときの基盤になるからです。
切歯のうち少なくとも2本が2/3以上萌出している
インビザライン・ファーストで治療を受けるためには、切歯(前歯)のうち少なくとも2本がしっかり萌出している必要があります。切歯は上顎と下顎にそれぞれ4本ずつ、合計8本あります。そのうち少なくとも2本が、3分の2以上まで出ていることが求められます。
前歯が十分に萌出していなければ、マウスピースが安定せず、歯の移動や力のコントロールを効果的に行えません。そのため、前歯がある程度しっかり生えてきていることが求められるのです。
3/4顎に乳歯または未萌出の永久歯が2本以上ある
顎の4分の3程度の範囲に、乳歯または未萌出の永久歯が2本以上あることも条件のひとつです。この条件は、混合歯列期が終わっていないことを示すものです。
インビザライン・ファーストでは、顎の成長を促しながら、歯並びが整うようにコントロールします。成人のように永久歯が完全にそろっていると、インビザライン・ファーストの適応となりません。
インビザライン・ファーストが向いている症例
インビザライン・ファーストが向いているのは、次のような症例です。
軽度〜中程度の叢生
叢生とは、歯が重なったり、ガタガタに並んだりしている状態です。歯が並ぶスペースが過度に不足していなければ、インビザライン・ファーストできれいに歯列を整えることができます。
軽度〜中程度のすきっ歯
すきっ歯は、歯と歯のあいだに隙間がある状態のことです。成長過程の子どもにはよく見られますが、隙間が大きいままの場合、噛み合わせや発音に影響を及ぼすことがあります。
やや広めのスペースであっても、インビザライン・ファーストの治療によって持続的に歯を移動させることで、自然な歯列に整えることができます。
軽度〜中程度の反対咬合
反対咬合とは、下の前歯が上の前歯よりも前に出ている状態(受け口)です。軽度であれば、顎の正しい成長発育を促しながらインビザライン・ファーストで改善を期待できます。早めに治療を行うことで成人後の大掛かりな矯正治療や外科的処置の回避につながります。
軽度〜中程度の上顎前突
上顎前突は、上の前歯が下の前歯よりも前方に突出している状態です。出っ歯とも呼ばれます。指しゃぶりや口呼吸などの癖が影響すると考えられ、見た目や発音、咬合機能に悪影響が出ます。
軽度〜中程度の上顎前突であれば、インビザライン・ファーストによって口元のバランスや機能面の改善を目指せます。
インビザライン・ファーストが向かないケース
インビザライン・ファーストは、次のようなケースには向いていません。
永久歯が生えそろっている場合
すべての乳歯が抜け、永久歯だけの状態になっている場合はインビザライン・ファーストでの治療はできません。この段階になると成人用のインビザラインなど、ほかの矯正治療が選択肢になります。
インビザライン・ファーストは混合歯列期という成長期のお子さんを対象とした治療なので、適切な時期を逃さないことが大切です。
歯並びが大きく乱れている場合
歯並びや噛み合わせが非常に乱れている場合は、インビザライン・ファーストでの治療が難しいケースが多いです。こうしたケースでは、歯に強い力をかけられる装置を使用した方法が選択されることが多いです。
骨格に問題がある場合
上下の顎の成長バランスが大きく崩れていたり、骨格そのものに異常があったりする場合は、インビザライン・ファーストだけでは対応できません。顎の成長に異常が見られるときは外科的な治療やほかの矯正治療が必要になることが多いです。
歯を大きく動かす必要がある場合
インビザライン・ファーストは歯を大きく動かす必要がある症例には向いていません。マウスピースで歯を1mm移動させるのに約2か月かかるとされています。歯の移動距離が長かったり、複雑な回転を伴ったりするケースでは、マウスピースのみでの治療は困難です。
まとめ
インビザライン・ファーストは、乳歯と永久歯が混在する時期に行う子ども向けのマウスピース矯正です。
ただし、6歳臼歯が生えていることや、永久歯に完全に生え変わっていないことなど、条件を満たす必要があり、誰でも始められるわけではありません。
また、軽度から中等度の歯並びの乱れには対応できますが、重度の症例には適さない場合もあります。お子さんがインビザライン・ファーストの適応となるか気になる保護者の方は、歯科医院で相談しましょう。
小児矯正を検討されている方は、京都府京都市左京区にある医療法人社団 京都下鴨ライフ歯科・矯正歯科・小児歯科にご相談ください。
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奥村 亮司